【成果の報告と責任の報告】この違いだったようです①

退職予定日が近くなっています。

私の担当先の引継ぎもほぼ終えましたが、どうも「退職」という感が全くしません。

忙しい訳では無いのですが、以前と比較し、難しい案件の相談や対応策、プレゼンの方法など、どちらかというと総合企画的な内容が増えています。

特に、中長期計画案件については、退職予定の人物があれこれ口を挟んでも後の人が大変だからと聞き役に徹してきましたが、そうもいかなくなってきています。

 

そんなある日、他部署の上司から仕事帰りに一杯誘われて、小料理屋さんに行きました。

この上司は、私がまだ若手社員だった頃からの先輩に当たります。

その席で

「会社からは君が退職しないよう、強引でもいいから慰留するよう指示を受けている」

「何となく、周りの雰囲気から察してはいました。ただ、元気な内に家内孝行や親孝行をしたいと思っていまして、決して仕事が嫌になった訳ではないのです」

「それを聞いて安心した。仕事が嫌になったのなら慰留しにくかったからね」

「そうではなく・・・」

「私の口からは今は言えないが、飛び級的な扱いを受けるはずだ。」

「他の先輩方から異論が出たのではないですか?」

「多少は出たが、大勢にはならなかった。」

「でも、適任の方はまだたくさんいらっしゃいますし、私でなくても・・・」

「これまで役員になれる人物は、既定のルートが有ったことは知ってるよね」

「はい、知っています。だからこそ、そのルートに乗れない優秀な人物が多数退職していったのを見てきました。」

「当社の業績が伸びてはいるけど、自力ではなく、M&Aによる上増しであることも知っているよね」

「はい、それも知っています。本業が伸びていないのは気がかりでした」

「ところが、君の部署は君が責任者になってから一度も数字を落としていないことや、やむを得ない理由以外の退職者がいないことに今更ながら気づいた役員がいて、そこが事の始まりだった。」

「同じ様な他の部署も有ると思いますが」

「他は数字が上がっていても退職者が多い部署ばかりだ」

「君の部署の売り上げをその役員が分析してみたら、幅広い顧客から継続的に売り上げが上がっていて、しかも社員間に大きな売り上げ格差が無いことに気付いたそうだ。」

「それは、みんな頑張ってくれていましたから、私が理由ではありません」

「しかも、退職者がいないことにより新規顧客による売り上げ増よりも既存顧客からの売り上げ増が上回っていることにも気が付いたそうだ。」

「(私からは)売り込みに行く営業マンではなく、顧客の問題を見つけ出し、それを解決する手法を提案するコンサル業務としての位置づけで接するようにと指示を出していました。自分の数字だけを見てしまうと顧客が不要な商品や過剰スペックな製品を押し付けがちになりますから、そこは問題だと若い頃から気になっていましたので」

 

 

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