【成果の報告と責任の報告】この違いだったようです②

「目先の数字に右往左往しながらも、会社としては何とか目標を毎年クリアしているが、我々の業界は顧客が無尽蔵に増えていくことはないから、何とかしなければと以前から考えてはいたものの、その昇進ルートが決まっているためにどうしても人材が育たず、危機感がピークに達したことから、社内でルート外の社員をポーズだけではなく権限も大きな立場で登用しようと2年前から検討されていた。」

「その話は何となく耳に入っていましたが、私は関係ないと気にしていませんでした」

「その登用に当たっては、既存顧客との取引拡大で数字を伸ばしている部署から選抜することに異論が無かったため、君もその一人に候補として当初から上がっていた」

「お言葉を返すようですが、このようなご時世、30代から40代の比較的若手に任せた方がいいと思いますが・・・」

「初めてルート外からの選抜になることから、若手では他の役員との心理的なプレッシャーに耐えられないだろうし、彼らはその次の代の候補として考えることとしている」

「そのような評価を頂いていることは素直に嬉しく思いますが、やはり退職してのんびりさせて頂きたいのですが」

「君が候補に挙がったのは、他の社員からのいわゆる『推し』が多かったからだ。人事で、内密にどの社員が上司だったらいいのかを口頭で調査したところ、10名以上の名前が挙がってきたが、君の場合、間接部門を含めた複数の部署から挙がっていた点が他の社員と異なっていた」

「確かに、社食や休憩時間にそんな話題を何回か聞いたことがありましたが、せいぜい、立ち話程度で、そのような調査とは思っていませんでした」

「私は間もなく定年になるが、最大限応援するし、後輩のためにも最終的に本決まりになれば是非、挑戦して欲しい。実は既に君の身辺調査を終えており、問題無かったそうだ。ここまで私が話したわけだから、会社は本気だよ」

「そうですか。先輩のお話を今ここで直ぐにお断りすることもできませんから、考えさせてください。」

「最後に、君は出世欲が全くなかっただろ。普通の責任者は成果を報告にくるが、それは後から数字で分かる。でも、君は数字の報告よりも問題が起きたときに原因はともあれ、自分の責任としていつも報告していただろ。そこが組織として評価されていた。それが大きなプラス要因だったそうだ。」

 

 

 

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