「物価や税金の上昇で生活が苦しくなっている」
これは、所得の伸びと連動していないことに由来しています。
ここからは、あくまでも私の私見ですので、その点を割り引いておいて下さい。
私は典型的な昭和世代のバブル入社組です。
私の入社当時の世相もあるかとは思いますが、一言で言うと
「努力次第で成り上がれる時代」
だったと思っています。(今でもそうですが)
労働基準法なんか関係なく、がむしゃらに働けるだけ働いて、短期間でお金を稼ぎ、それをビジネスなり投資なりに注ぎ込んで、富裕層に駆け上がっていった同僚や先輩を多数見てきました。
また、社会がきらびやかで「今日より明るい明日がある」という未来志向が強かったような感じでした。
私も、自分の意思とは関係なく、このような社会の雰囲気を感じ取り、タネ銭を短期間で蓄えて、ビジネスをしたいと思っていた一人です。
その頃はまだ、インターネットどころかパソコンも普及していませんでしたから、コテコテのアナログ社会でもありましたが・・・
今は社畜が喧伝されており、自分の意思とは関係なく、組織の歯車感、いや、消耗品扱いと感じている方も少なくないのではないでしょうか。
現状を変えるのは他人ではなく、自分自身でしかありません。
そんな私が、成りあがってやろうと本気で思った時のことをお恥ずかしながら紹介します。
ある人の紹介がきっかけで、六本木のある会社を訪問しました。
その会社の役員室が高層ビルの最上階に有り、そこの社長は若くして(年齢も私より少し上)上場したイケイケ風の方でした。
その部屋に行くには専用のエレベーターがあり、それを降りるとまず、女優やモデルのような美人な秘書が受け付けをしており、「お待ちしておりました」と一礼し、中へ入れてもらいました。
扉を開けて入りますと、東京タワーを目の前にする綺麗な夜景が一面に広がっており、テレビのトレンディードラマでしか見たことのない風景でした。
また、フロアがメゾネットタイプになっており、その上のフロアで色々お話を伺うことが出来ました。
仕事上の話が中心ではありましたが、多弁な方ではなく、こちらが品定めされているような雰囲気でした。
その中で、
「あなたはサラリーマンに向いていない。」
「なぜですか?」
「自分の考えで話しているだろ」
「はい、本日の貴重なお時間を頂戴するにあたって、粗相のないよう、情報を整理したうえで、お伺いする内容はもちろんのこと、聞かれたことには何でも答えられるよう最大限、事前に準備してきました」
「それは、会社から提供された情報?」
「いいえ、同僚や知人、友人などの関係する業界人などを紹介してもらい、色々ヒヤリングして集めた情報です」
「やはりな。〇〇さんからの紹介だから、最初は仕方ないなと思っていたけど、あなたはうちの問題点をズバリ遠回しではあるけど突いてきた。このアングルから話をしてくる人はそうそういないからね」
「恐縮です」
「なぜサラリーマンに向いていないといったのか分かる?」
「いいえ」
「これまで接してきた会社員の多くは自分の事、自社の事しか言ってこなかった。つまりはセールスだ。こちらが必要なら売り込みに来なくてもこちらから伺うよ」
「はい」
「あなたは私との会話の中から私が何を欲しているのか探り出そうとするどん欲さを感じた。次に繋げてやろうという意思のことだ。」