サラリーマンは退職後に何故、同じ会社の人と縁が切れるのか②

①からつづく

「経営陣がやる気が無いというのは言い過ぎだと思うけどな~」

「今の時代は株主資本主義の時代であり、決して会社は社員のためではない。株主が絶対的な権限を持っている。その株主の意に沿わない役員は首にされるから、どうしても短期的な利益追求に走ってしまう。でも、それが本来の株式会社であり、それを否定するものではない。」

「会社は社員や顧客のために存在しており、社会の公器だと教わってきたけどな~」

「建前はどうでもいいけど、リストラや賃下げをするのが社員のための会社?」

「経営陣も役員報酬を返上したりして、責任を取っているだろ」

「リストラ策が発表されると大抵は株価が上昇する。返上した役員報酬はリストラ後に何倍にもなって返ってくるけど、リストラされた社員は一方通行。」

「そう言われればそうかも~」

「リストラや給料を減らすのは、経営陣にコスト削減以外に利益を上げる手段が分からないから実施されているのが実態。社員の若返りが主目的では無いし、残った社員もいつかリストラされるかもしれない会社との認識になるため、出来る社員程、転職し、出来ない社員やヒラメ社員が残ってしまい、また、何年か後にリストラを行う無限ループ」

「経営陣と言っても取締役や執行役員がいるけど、執行役員は取締役でもなければ社員でもない、不安定な立場だから、より成果を掲げるために過激な行動に出がちになる。」

「そうそう、執行役員になったのもつかの間、1年でクビになり、社員でもないため、元に戻ることもできず、子会社に飛ばされた人がいたな~」

「ここでいう、役員がやる気が無いというのは、社員の待遇を良くする気がないという意味で、仕事をする気が無いという意味ではないからね。」

「社員の待遇を良くしないと、しっかり働かないんじゃないの?」

「そんなことはない。既に『雇ってやっている』感が強い情況だろ。かなり近いうちにギグワーク化したジョブ型雇用に切り替わっていくんだから、長く勤めてもらうインセンティブは不要。必要な時に必要なだけの仕事をしてくれるジョブ型雇用で十分だろ」

「仮にそうなるのであれば、学歴や経験は不要になるのでは?」

「学歴は文字通り、学んだ履歴であり、過去の記録に過ぎない。しかも、その当時に学んだ履歴であり、進歩が速い今の社会に適合している履歴とは限らない。ある意味、学歴という呪縛に一生縛られる宿命にある」

「一流校に行く意味が無いということ?」

「そうじゃない、どこの学校でもいいけど、『意思』を持ってチャレンジできる環境をものにできる学生に最大のチャンスがある」

「それでも学歴は先輩後輩という関係性に強みがあったと思うけど」

「だから、それは先輩が後輩を引き上げてくれるなどの『見えざる手』を暗に期待してきたからだ。必要な仕事を必要な時にこなす人物が必要になっていくのだから、それを期待することはかなりリスキーだと思うな」

「仮にジョブ型雇用が進むとしても、社員が退職後に元の社員との関係が途切れてしまうのは今に限った話じゃないだろ」

「整理すると社員同士はお互い『牽制しあう関係』でしかなく、お互い二枚舌、三枚舌だから、どこかでボロが出る。それは古くからある『分割統治』の一環だからさ」

「分割統治?」

(つづく)

 

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