(①からの続き)
「結局、簡単にまとめてみると
経済的基盤は無いけど、仕事は辞めたい。
転職も視野に入れているが、減収は避けたい。
奥さんは辞めてもいいけど、現状レベルの生活維持を希望。」かな?
「その通り!」
「でも、本音が抜けてるよね。今日、この席を設けたのは、そんな話ではなく、ずば
り、働かなくても生活できる手段を教えて欲しい!という所じゃないの?」
「そう、もう本当は働く意欲が無くなっている」
「突然リタイヤしたい気持ちは分かるけど、衝動的な行動は家庭を破壊する衝撃弾だか
ら絶対避けるべき。」
「なぜ、私に相談を持ち掛けたの?本音は?」
「そちらの噂は社内の一部で結構話題になっている。奥さんが専業主婦、お子さんが4
人もいながら、奨学金や学費ローンを借りずに中高一貫校や全員私立に行かせるな
ど、当社の給料じゃとてもじゃないけど賄えないだろ。」
「まあね。今の年収が3倍でも、とても足りないくらいだね。」
「そうだろう、ということは給料以外の収入が順調と見ていたからそのコツとなりを教
えてもらいたいんだ。」
「私は、株以外の資産運用は全くしていないし、短期間に大きく増やすことができると
いう方法は知らないよ。」
「全部は教えてもらえないかもしれないけれど、エッセンスは教えてもらえないか?」
「それは、良いけど、どの程度、株について勉強しているの?例えば、IPOや立会外
分売という言葉は知っている?」
「聞いたことはあるけど、良く分からない」
「それじゃ、私が話してもよく理解できないと思うよ?証券会社に口座は開いている
の?」
「いや、まだ。何もしていない。」
「う~ん。コツを話すレベルでは無いと思うな~。」
「強いて、現時点でのコツを教えるとなると、サラリーマン思考はいったん置いておい
た方がいいと思う。私もその呪縛から逃れるのに結構時間がかかった。」
「サラリーマン思考?」
「二兎を追う者は一兎をも得ず。ということだ。今の仕事もそうだけど、設定されてい
る目標には本当は軽重の差があるのに、全て満点を取るよう、すごい労力と時間をか
けているだろ。特に社内監査を理由に重箱の隅を突き廻しているあれだ。」
「投資をしていると儲かる時も損する時もある。結果、プラスになればいいということ
だけど、サラリーマンにはそれが認められていない。人事評価でも本当に些細なこと
が指摘されて、やる気をなくす社員が続出しているのは知っているだろ。」
(つづく)